臨床研究
維持血液透析患者における持続型赤血球造血刺激因子製剤切り替え後短期間の検討
幅俊人
1
,
杉山正憲
2
1医療法人 杉山会 ノア大久手クリニック・院長
2医療法人 杉山会 すぎやま病院・院長
pp.2013-2021
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/12013082013
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透析患者の腎性貧血管理に赤血球造血刺激因子製剤(ESA)は不可欠であり,ノア大久手クリニック(名古屋市。以下,当院)でもESAを用いた腎性貧血管理を行っている。今回,ダルべポエチン アルファからエポエチン ベータ ペゴルに変更し,再びダルべポエチン アルファに復した症例を経験したので報告する。
当院に通院する血液透析(HD)患者でダルべポエチン アルファからエポエチンベータ ペゴルに変更し,その後再びダルべポエチン アルファに復した患者は6例であった。この6例を対象に,ESA切り替え前後8週間のヘモグロビン(Hb)濃度および血清フェリチン濃度について検討した。なお,ダルべポエチン アルファからエポエチン ベータ ペゴルに変更した前後8週間をI期とし,エポエチン ベータ ペゴルから再びダルべポエチン アルファに復した前後8週間をII期とした。
I期ではエポエチン ベータ ペゴルに変更後,Hb濃度は低下傾向を示し,血清フェリチン濃度は33±15ng/mLから95±54ng/mLへ有意に上昇した。(p=0.028)。II期ではダルべポエチン アルファに復した後,Hb濃度は9.8±0.8g/dLから10.9±0.4g/dLへ有意に上昇し(p= 0.043),血清フェリチン濃度は低下傾向を示した。
今回の検討において,HD患者の赤血球造血における鉄利用能は,エポエチンベータ ペゴルよりもダルべポエチン アルファの方が優る可能性が示唆された。