特集 てんかんの新治療戦略と課題
9.てんかんと脳内ネットワーク機構
松本理器
1
,
國枝武治
3
,
池田昭夫
2
1京都大学大学院医学研究科臨床神経学 講師
2京都大学大学院医学研究科臨床神経学 准教授
3京都大学大学院医学研究科 脳神経外科・特定講師
pp.1312-1320
発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201305110
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てんかんの発作症状は,大脳皮質ニューロンの過剰興奮が,てんかん焦点から脳内ネットワークを介して大脳皮質・皮質下構造物に伝播して出現する。すなわち,てんかんの発作症候は正常の皮質機能・脳内ネットワーク機構と表裏一体であり,てんかん病態の理解・治療は,臨床システム神経科学と密接に関連する。脳波・機能的MRI(magnetic resonance imaging)同時計測では,てんかん性放電に関わる脳血流の増減を解析することで,皮質‐皮質下構造を含めた脳内のてんかんネットワークが評価でき,ネットワークレベルの病態解明や脳深部のてんかん焦点の同定に有用である。
また,てんかん外科の術前評価のために留置した硬膜下電極からの単発皮質電気刺激を用いた皮質‐皮質間誘発電位の記録では,個々の患者において,てんかん原性の評価や脳機能ネットワークの患者仕様(テーラーメード)のマッピングが可能であり,臨床での普及が期待される。