特集 てんかんの新治療戦略と課題
10.てんかんと運転免許の問題点
松浦雅人
1
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科生命機能情報解析学分野・教授
pp.1321-1327
発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201305119
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2002年に道路交通法が改正され,てんかん患者が4つの条件(5年以上の無発作,2年間無発作でさらに一定期間の発作抑制が想定できる,発作が単純部分発作に限られる,睡眠中の発作に限られる)のいずれかを満たし,医師が今後悪化のおそれがないと診断すれば,自家用車の免許を取得できるようになった。だが最近,てんかん患者が関係する悲惨な交通死傷事故が相次ぎ,法令不遵守が問題視されている。
日本てんかん学会は法令遵守率の向上を目指して新たな運用基準を提案し,警察庁の有識者会議は法令不遵守者への罰則強化と医師による任意の通報制度の新設などを答申した。てんかんのある人への交通事故抑制は急務であり,今後さらに幅広い議論が必要である。