医薬ジャーナル論壇
社会的理念としての国民皆保険制度 ― 英国医療の歴史から学ぶこと ―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.31-33
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201301031
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2012年末に行われた第46回衆議院選挙は,自民党が単独過半数を制して圧勝した。乱立した各党の公約はさまざまであったが,国民皆保険制度を堅持するという点では大きな違いはなかった。1961年の成立から半世紀,戦後日本の発展を支えた社会的基盤として,国民福祉の充実に果たしてきた役割は計り知れない。だが今,その皆保険制度が存続の危機に瀕していると言われる。少子高齢化による人口構造の変化が,長引く景気低迷と相俟って,日本の医療システムを直撃しているのである。わが国の皆保険制度は,英国の医療政策を手本として発足した。しかし,英国はかつて“英国病”とまで言われるほど社会が停滞し,医療制度も度重なる改革を余儀なくされた。その歴史から,今我々が学ぶべきことは少なくはない。