特集 腎疾患領域のゲノム医療と新規治療ターゲット
6.メガリンをターゲットとした腎臓病の診断・治療法の開発
桑原 頌治
1
,
細島 康宏
2
,
蒲澤 秀門
2
,
忰田 亮平
3
,
斎藤 亮彦
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター機能分子医学講座
2新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター機能分子医学講座 病態栄養学講座
3新潟大学医歯学総合病院腎・膠原病内科
キーワード:
慢性腎臓病
,
急性腎障害
,
バイオマーカー
,
メガリン
,
近位尿細管
Keyword:
慢性腎臓病
,
急性腎障害
,
バイオマーカー
,
メガリン
,
近位尿細管
pp.53-58
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/KB.0000000098
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慢性腎臓病(CKD)や急性腎障害(AKI)は腎代替療法導入や死亡のリスクの高い重大疾患であるが,病態機序に立脚した診断マーカーや抜本的治療法は未だ十分に確立されていない.われわれの研究グループは,近位尿細管においてさまざまな分子の再吸収と代謝に関与するエンドサイトーシス受容体メガリンに着目し,腎臓病の新たな診断・治療法の開発に取り組んできた.近年の研究において,メガリンが腎障害性のタンパク質や薬剤を細胞に取り込む「入り口」となって,CKD やAKI の発症・進展に関わることが明らかになった.したがってそのような病態においては,メガリン抑制剤やメガリン拮抗剤が腎保護に有効であることが期待される.さらにメガリンの動態を尿中でアッセイすることは,それらの病態に基づく新しいバイオマーカーになる可能性があり,実際にわれわれはそれを支持するデータを得ている.
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