下部消化管:炎症からの発癌
炎症発癌の治療 クローン病に合併した小腸癌の外科治療
杉田 昭
1
,
小金井 一隆
,
辰巳 健志
,
二木 了
,
黒木 博介
,
山田 恭子
,
荒井 勝彦
,
福島 恒男
1横浜市立市民病院 炎症性腸疾患センター
キーワード:
Crohn病
,
危険因子
,
術中期
,
術前診断
,
小腸腫瘍
,
小腸切除
,
発癌
,
組織診
Keyword:
Crohn Disease
,
Intraoperative Period
,
Risk Factors
,
Carcinogenesis
pp.399-404
発行日 2015年7月20日
Published Date 2015/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2015374062
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クローン病に合併する小腸癌はまれであるが,相対危険度は一般人口に比べて非常に高い.臨床症状,画像所見がクローン病と類似しているため,小腸癌の術前診断は困難で,術中,術後,とくに術後に切除標本の病理検査で癌合併と診断されることがもっとも多い.術前に小腸内視鏡検査を行う症例では所見によって生検を行い,術中は病変部小腸壁の高度の硬化,硬いリンパ節腫大や狭窄形成術予定部で癌を疑わせる所見があれば積極的に術中迅速病理診断を行って診断を確定する.術後病理検査で診断された症例で,クローン病の小範囲切除による癌の遺残が疑われる症例では,追加切除を考慮する必要がある.クローン病に伴う小腸狭窄,腸管瘻孔病変にはまれではあるが癌合併の可能性があることを念頭において診断,治療を行うことが重要である.
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