消化器内視鏡の技術革新-開発秘話と次世代内視鏡医療の構築に向けて
技術革新と開発秘話 大腸ESDの開発
矢作 直久
1
1慶応義塾大学 医学部腫瘍センター
キーワード:
外科用器具
,
大腸内視鏡法
,
結腸腫瘍
,
大腸腫瘍
,
直腸鏡法
,
直腸腫瘍
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
,
アブレーション技術
Keyword:
Endoscopic Mucosal Resection
,
Colonic Neoplasms
,
Colonoscopy
,
Proctoscopy
,
Rectal Neoplasms
,
Surgical Instruments
,
Colorectal Neoplasms
,
Ablation Techniques
pp.1345-1350
発行日 2016年8月20日
Published Date 2016/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2016397513
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ESDが確立する前に,まず確実にスネアを掛けるために病変の周囲を切開することから新しい手技が始まった.安全性を担保するためにさまざまなコンセプトで新たな処置具が開発されたが,徐々に対象病変が大きくなるにつれて切開だけではスネアが掛けられなくなったため,切開縁の粘膜下層を剥離するようになり,最終的にスネアを用いずに剥離だけで病変を一括切除する方法へとたどり着いた.大腸でこの方法を用いた報告はなかったが,S状結腸の小型のLST-NG-PDを発見し,EMRでは確実な切除は難しいことから,われわれは十分な隆起を形成してから短い細径スネアの先端と手作りの先端透明フードを用いることにより安全に切除できると考え,1999年に初めてESDを行った.この成功の後に,徐々に対象病変のサイズを上げていった.さらに穿孔した症例や10cmを超える大型病変の切除後でも臨床経過はスムースであり,非常に綺麗に治ることを経験し,大腸ESDは非常に有用であることを確信した.大腸に適した処置具が開発され徐々に大腸ESDは普及してきている.大腸腫瘍の頻度は欧米諸国でも高いため,今後さらなる機器の開発により世界的に大腸ESDが普及すると思われる.
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