LECS(laparoscopy and endoscopy cooperative surgery)の新たな展開
胃以外への応用 大腸におけるLECS
為我井 芳郎
1
,
岸原 輝仁
,
福長 洋介
,
千野 晶子
,
藤本 佳也
,
秋吉 高志
,
小西 毅
,
上野 雅資
,
五十嵐 正広
1がん研究会有明病院 内視鏡診療部
キーワード:
大腸内視鏡法
,
上皮内癌
,
穿刺
,
腺腫
,
大腸腫瘍
,
腹腔鏡法
,
アルゴリズム
,
アブレーション技術
,
大腸切除
,
患者の安全
Keyword:
Algorithms
,
Adenoma
,
Carcinoma in Situ
,
Colonoscopy
,
Laparoscopy
,
Punctures
,
Colorectal Neoplasms
,
Ablation Techniques
,
Patient Safety
pp.1551-1559
発行日 2015年10月20日
Published Date 2015/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2016039882
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粘膜下層に高度な線維化を伴った大腸腫瘍のESDでは,一括切除が困難で穿孔の危険性が高く,安全性と根治性から見た限界領域が存在する.大腸ESD1,016病変のうち線維化例は245病変で,線維化の要因から,非癌性線維化(type B)と癌のSM浸潤に伴った癌性線維化(type C)に,線維化の程度は軽度:1~高度:3の3段階に分類した.一括切除率は非線維化例では752/771病変(97.5%),線維化例ではB-3,C-3で有意に低下し,穿孔は3病変(0.3%)ですべてtype Bであった.すなわち粘膜内病変で,原則内視鏡治療の適応であるtype B-3の高度線維化例のなかに一括切除率ならびに穿孔から見たESDの限界が存在する.以上の内視鏡治療の限界の克服を目的とし,正確な側方断端を確保しつつESDの手技を併用して一括全層切除を行うLECSを開発した.大腸LECSの適応は,局所全層切除にて根治しうる腹膜反転部より口側の病変で,(1)内視鏡治療後や外科手術後の遺残再発病変で,広範で強固な粘膜下層の線維化を伴う粘膜内癌ならびに腺腫category 3,4,5-1:Vienna classification),(2)粘膜下腫瘍,(3)憩室や虫垂内に進展した粘膜内癌ならびに腺腫,である.以上の適応に準じ,ESDでは穿孔の危険性が高いと判定された8例にLECSを施行したが,合併症もなく安全に遂行された.
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