進行肝細胞癌の治療戦略
肝細胞癌ステージングシステムと進行肝癌診療
北井 聡
1
,
上嶋 一臣
,
工藤 正俊
1近畿大学 医学部消化器内科学
キーワード:
肝細胞癌
,
腫瘍進行度
,
TNM分類
Keyword:
Carcinoma, Hepatocellular
,
Neoplasm Staging
pp.1019-1025
発行日 2015年6月20日
Published Date 2015/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2015304272
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肝細胞癌の治療方針決定に際しては,腫瘍因子のみならず,肝予備能の病期も大いに関与しており,これらを加味した統合ステージングが提唱されてきた.進行肝癌診療におけるステージングシステムの重要性としては,治療適応とならない予後不良群や,あるいは積極的に治療を行うべき比較的予後良好な群を抽出することが挙げられる.本邦から提唱されたJIS scoreは進行肝癌のみならず,早期から中期の肝癌,あるいは治療適応とならない末期症例までを見事に層別化でき,本邦の治療に見合う優れた予後予測ステージング法と考えられる.また,世界的に用いられている治療アルゴリズムも加味したBCLC staging systemでは,進行肝癌の多くはstage Cに分類され,ソラフェニブの投与が推奨されている.一方,stage Bであっても,根治治療が適する症例や,進行肝癌症例として治療を考慮すべき症例が含まれていることが報告され,近年stage Bの亜分類が提唱されてきており,さらなる検討が必要と考えられる.
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