消化器診療-30年と今後の展望
化学療法領域の変遷と展望 肝胆膵
古瀬 純司
1
,
岡野 尚弘
,
成毛 大輔
,
田原 純子
,
春日 章良
,
北村 浩
,
長島 文夫
1杏林大学 医学部内科学腫瘍内科
キーワード:
肝細胞癌
,
抗腫瘍剤
,
膵臓腫瘍
,
胆道腫瘍
,
臨床試験
,
アジュバント化学療法
,
治療成績
,
近代医学史
,
Gemcitabine
,
分子標的治療
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Biliary Tract Neoplasms
,
Clinical Trials as Topic
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Pancreatic Neoplasms
,
Chemotherapy, Adjuvant
,
Treatment Outcome
,
History, Modern 1601-
,
Molecular Targeted Therapy
,
Gemcitabine
pp.91-100
発行日 2014年12月20日
Published Date 2014/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2015108252
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肝・胆道・膵癌は従来化学療法が効かない難治癌として認識され,有効な標準化学療法が確立していなかった.1990年代後半,ゲムシタビンが切除不能膵癌の標準治療として確立し,さらに術後補助療法にも有用性が確認された.その後,胆道癌にもゲムシタビンが用いられると,2010年,ゲムシタビン+シスプラチン併用療法(GC療法)とゲムシタビンによる第III相試験によりGC療法が切除不能胆道癌の標準治療として確立した.一方,肝細胞癌では局所治療がおもな治療法であり,化学療法はほとんど行われていなかった.2007年,マルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブによるプラセボ対照第III相試験により,切除不能進行肝細胞癌患者での生存期間の延長が初めて確認され,ソラフェニブが標準化学療法として広く用いられている.このように肝・胆道・膵癌の化学療法の歴史はわずか20年弱にすぎないが,膵癌では最近ゲムシタビン単独治療に加え,ゲムシタビン+エルロチニブ併用療法,S-1,FOLFIRINOX療法といくつかの有効な治療法が出てきている.今後,さらに有効な治療法の開発が必要であるとともに,2次化学療法や胆道癌術後補助療法の確立,肝細胞癌でのソラフェニブに続く薬剤の開発が大きな課題となっている.
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