CKD貧血ガイドライン-二度の改訂を巡って
Clinical Question 腎性貧血治療の開始基準とすべきHb値はいくつか?
満生 浩司
1
,
平方 秀樹
1福岡赤十字病院 腎臓内科
キーワード:
ヘマトクリット
,
血液透析
,
Hemoglobins
,
造血剤
,
腹膜透析
,
基準値
,
診療ガイドライン
,
貧血-腎性
,
慢性腎臓病
Keyword:
Hematocrit
,
Hemoglobins
,
Hematinics
,
Renal Dialysis
,
Peritoneal Dialysis
,
Reference Values
,
Practice Guidelines as Topic
,
Renal Insufficiency, Chronic
pp.151-162
発行日 2017年2月10日
Published Date 2017/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2017163959
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わが国においては2004年に血液透析(HD)患者を対象として腎性貧血治療ガイドラインが作成され,その後,保存期慢性腎不全(ND)患者,腹膜透析(PD)患者も対象に組み入れ,2008年,次いで2015年と改訂されてきた.その間世界的には,正常ヘモグロビン(Hb)値を目指して高用量の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を使用する風潮から一転して,Hb値10g/dL以上ではESAは投与すべきではないという極端な方向転換となった.しかしわが国では影響を受けることなく,本邦のエビデンスを基にして堅実な治療開始基準と目標Hb値が提唱され続けてきた.治療開始基準とは,それ以下のHb値が持続することで生命予後や腎予後にとって不利益となる値と判断される.これまでの研究報告の集積からはND患者ではHb値11.0g/dL未満,HD患者では,血液濃縮やわが国独特の採血条件を鑑みHb値10g/dL未満と考えられる.PD患者に関してはきわめて報告に乏しいが,体液量の変動が少ないことからND患者に準ずるものと判断される.ただし,ESA投与開始に際しては事前に鉄欠乏や尿毒症など他の要因を十分に検索するべきである.
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