鉄と骨代謝
慢性腎臓病患者における鉄欠乏の危険性
濱野 高行
1
1大阪大学 大学院医学系研究科腎疾患統合医療学
キーワード:
Ferritins
,
レストレスレッグス症候群
,
Transferrin
,
危険因子
,
Hemoglobins
,
血小板増加症
,
欠乏性疾患
,
造血剤
,
鉄
,
診療ガイドライン
,
ランダム化比較試験
,
貧血-腎性
,
慢性腎臓病
,
観察研究
,
線維芽細胞増殖因子-23
Keyword:
Deficiency Diseases
,
Hemoglobins
,
Hematinics
,
Restless Legs Syndrome
,
Risk Factors
,
Thrombocytosis
,
Transferrin
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Practice Guidelines as Topic
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Observational Studies as Topic
,
Fibroblast Growth Factor 23
,
Ferritins
,
Iron
pp.153-162
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2016329684
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鉄を投与できるのはフェリチン<100ng/mlかつTSAT<20%の場合のみと謳った日本のかつての腎性貧血ガイドラインは,鉄欠乏患者を驚異的に増やした.この2条件を満たす鉄枯渇状態で鉄補充するとヘモグロビン(Hb)は急上昇し,その結果ESAは急激に減らされHbサイクリングに繋がる.貧血のない若年女性鉄欠乏者や鉄欠乏心不全患者に対する鉄投与の無作為化研究は,「貧血がなければ鉄欠乏は問題ない」という従来の鉄に対する保守的意見に異を唱える.心不全入院を抑制するのみならず鉄補充によって学習能力が改善し,むずむず脚症候群を改善させることも報告された.ESA投与だけに極度に依存する診療姿勢は,鉄欠乏を招き血小板を増加させる.また静注製剤で示されている鉄の害毒を経口鉄投与にまで外挿する合理性はない
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