発行日 2014年9月10日
Published Date 2014/9/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2015004445
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症例は50代男性で、43歳時に腎不全による血液透析導入で左前腕尺側標準位内シャントが作製された。今回、シャント血管全長にわたる血栓閉塞が出現し、血栓溶解剤と抗凝固薬投与、シャントマッサージにて再開通したが、直後に手関節遠位の色調不良としびれ感を認め、血流改善薬投与と抗凝固療法が継続された。しかし、指先のチアノーゼ・しびれ・疼痛・冷感の増悪で当院に転院した。血管超音波検査ではシャント血流は再開していたが、シャント血管径は6~12mmと太く発達し、閉鎖時に大量の血栓が示唆された。動脈造影では左橈骨動脈は途絶し、手指血流は尺骨動脈からの供給で、左指動脈はMP関節レベルまでの造影であった。シャント血流を遮断すると左手指血流が改善し、血栓崩壊物の逆行性押し込みに伴う急性指動脈閉塞症と考え、シャント閉鎖術と右前腕一次内シャント作製後に血流改善薬投与と抗凝固療法を行い、皮膚温の改善、壊死性変化皮膚の消失を認めた。
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