発行日 2013年4月10日
Published Date 2013/4/10
DOI https://doi.org/10.19020/J01864.2013199519
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血液透析導入前後に発症した粟粒結核の2例を報告した。症例1は50代女性で、1年前にループス腎炎を原疾患とする末期腎不全で透析導入された。導入約1ヵ月後から38℃を超える発熱(間欠熱)が持続し、前医に入院した。各種画像検査や自己抗体などの血液検査で発熱の原因は特定できず、2ヵ月以上発熱が持続した。クォンティフェロン検査で陽性を示し、精査のため当院に転院した。胸部X線とCTで両肺野に小粒状影を認め、臀部に皮下結節を認めた。同結節の穿刺吸引液の抗酸菌塗抹検査でガフキー1号を認め、PCRによる同定検査で結核菌と判明し、粟粒・皮膚結核と診断した。INH・RFP・EBによる治療を開始したが、肝障害や食欲不振といった副作用が強く、十分な治療ができないままに死亡した。症例2は50代男性で、原疾患不明の保存期腎不全として治療中、38℃台の発熱(間欠熱)があり、その1週間後から肉眼的血尿が出現した。近医受診し、一般抗生剤の点滴治療を受けたが、発熱・血尿とも改善しなかった。胸部X線とCTで両肺野に粒状影、腹部超音波で左水腎症を認められ、尿の抗酸菌塗抹検査でガフキー3号、PCRによる同定検査で結核菌と同定され、粟粒・腎尿路結核の診断で当院に転院した。INH・RFP・EB・レボフロキサシンによる治療を開始したが、腎機能が悪化し、治療開始2週後に末期腎不全の状態に至ったため血液透析を開始した。透析を継続しながら抗結核薬治療を終了し、現在も週3回の維持透析を行っている。
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