発行日 2004年7月20日
Published Date 2004/7/20
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004274707
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22歳女.2年半前より左股関節痛が出現し,2回の近医受診では画像所見上問題なしと診断されたが,運動時痛,可動域制限により歩行困難となった.X線像は1年前と比較して左股関節裂隙の狭小化が進行し,臼蓋・骨頭の骨萎縮像は明瞭となり,大腿骨頸部に皮質骨欠損を認めた.MRI所見では2年前に認めた左股関節の関節液貯留が殆ど消失し,周囲軟部組織,臼蓋・大腿骨頸部は炎症性変化を示した.また股関節内下前方および大腿前面にrim enhanceされる膿瘍を認め,関節との連続性が疑われた.膿瘍穿刺による検体のPCRではMycobacterium tuberculosis DNA陽性で,塗抹は陰性,培養は陽性であった.イソニアジド,リファンピシン,エタンブトールの3剤療法を開始し,CRP,ESRは陰性化したが,46日目のMRIで膿瘍拡大を認めた.手術で大腿骨頸部周囲の炎症滑膜を除去し,頸部骨侵食部を掻爬すると共に,大腿前面の膿瘍摘出を行った.術後1年5ヵ月経過し,運動時痛などの症状,画像所見は改善した
©Nankodo Co., Ltd., 2004