特集 大腸Ⅱc─革命のその後
Ⅲ.各分野における大腸Ⅱcの現状,存在意義と課題(3)病理医の立場から b.pT1癌の由来粘膜内癌からみて
味岡 洋一
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学分野
キーワード:
Ⅱc
,
大腸癌
,
pT1癌
,
残存粘膜内癌
,
組織発生
,
発育進展
,
de novo癌
Keyword:
Ⅱc
,
大腸癌
,
pT1癌
,
残存粘膜内癌
,
組織発生
,
発育進展
,
de novo癌
pp.394-402
発行日 2021年12月20日
Published Date 2021/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000639
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Ⅱc型粘膜内病変はその発見当初は特異な肉眼形態と発育様式から癌と診断される傾向があったが,時代的変遷とともにⅡc型は必ずしも癌ではないというコンセンサスが病理医間で得られてきている.筆者の病理診断基準では,その多くは腺腫と診断される病変であった.他方,粘膜内部残存pT1癌の検討から,Ⅱc型粘膜内癌は高異型度癌としてde novo発生し,他の肉眼型の癌に比べ小さい大きさ(10mm前後)で粘膜下層へ浸潤すると考えられる.Ⅱc型粘膜内癌に由来する大腸癌は8.4%程度であったが,由来粘膜内癌不明pT1癌の病理学的特徴を考慮すると,より多くの大腸癌がⅡc型粘膜内癌に由来するものと推定される.Ⅱc型の病理学的意義を明らかにするためには,由来粘膜内癌不明pT1癌の病理学的解析が今後の課題である.
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