特集 大腸Ⅱc─革命のその後
Ⅲ.各分野における大腸Ⅱcの現状,存在意義と課題(2)開業医の立場から a.Ⅱcに時代的変遷が起きているのか
田村 智
1
,
田村 恵理
1,2
1田村クリニック胃腸科・内科
2近森病院消化器内科
キーワード:
陥凹型
,
Ⅱc
,
pit pattern
,
Narrow Band Imaging
,
担癌率
,
早期大腸癌
Keyword:
陥凹型
,
Ⅱc
,
pit pattern
,
Narrow Band Imaging
,
担癌率
,
早期大腸癌
pp.373-379
発行日 2021年12月20日
Published Date 2021/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000636
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当院における,Ⅱcを検討した.2007年11月から2021年7月の期間に施行した大腸内視鏡検査14,716件のうち,病理組織学的診断の得られた8,618例を対象として,内視鏡ファイリングシステムから,Ⅱcを抽出した.局面を有する陥凹面を認める病変のみをⅡcとして見直すと,50病変のⅡcが発見されており,大腸内視鏡検査294件に1例の頻度で発見されていた.Ⅱcの局在部位は,横行結腸が28%と最多であったが,S状結腸と直腸で約50%を占めていた.これは従来から,陥凹型の好発部位が進行癌と異なると指摘されていた議論に対し,陥凹型が進行癌への重要なルートとなりうることを支持する,新知見と考えられる.Ⅱcの担癌率は42%,SM癌率は30%であった.Ⅱc型早期癌は,5mm前後でSM浸潤が始まり,10mm以上になるとSM深部浸潤癌となり,20mm前後で進行癌に進展する,悪性度の高い病変である.内視鏡臨床最前線の当クリニックのような施設でも,淡い発赤や粘膜面の微妙な変化に注目することで,比較的まれと考えられているⅡc病変の発見が可能となると考えられる.当院での結果は,以前からの議論に合致するもので,Ⅱcは時代を経ても変遷することなく,むしろKudoの提唱が事実であったことを,30年という年月が証明したことになる.
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