特集 全身性疾患における腸管病変─腸管ベーチェット病とその鑑別疾患
Ⅳ.腸管ベーチェット病の鑑別疾患(5)NSAIDs 起因性小腸病変
今枝 博之
1
,
山岡 稔
2
,
都築 義和
1
,
芦谷 啓吾
2
,
松本 悠
2
,
宮口 和也
2
,
大庫 秀樹
1
,
中元 秀友
2
1埼玉医科大学病院消化管内科
2埼玉医科大学病院総合診療内科
キーワード:
NSAIDs
,
小腸
,
非ステロイド性抗炎症薬
,
カプセル内視鏡
Keyword:
NSAIDs
,
小腸
,
非ステロイド性抗炎症薬
,
カプセル内視鏡
pp.525-529
発行日 2019年11月20日
Published Date 2019/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000419
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)起因性小腸病変は,カプセル内視鏡やバルーン内視鏡により明らかとなってきた.機序として細胞内のミトコンドリア障害,細胞間のtight-junction の脆弱化,apoptosis やnecrosis,COX-1 阻害による粘液分泌の低下や微小循環障害,胆汁酸や腸内細菌,蛋白分解酵素,食物の侵入による炎症が考えられる.PPI によるdysbiosis の関与も報告されている.貧血,血便,下痢,腹痛などが多い.内視鏡所見として発赤,微小な絨毛欠損,びらん,アフタ様潰瘍,打ち抜き様潰瘍,輪状潰瘍,膜様狭窄がみられる.治療としてはNSAIDs の中止,COX-2 選択的阻害薬や他の鎮痛薬への変更,ミソプロストールやレバミピドなどの粘膜保護薬,抗菌薬,プロバイオティクスの予防効果の有用性が報告されている.
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