特集 腸内細菌研究の最前線 ―社会実装へ向けて
1.総論(1)腸内細菌叢による宿主の生理・病態への関与
大野 博司
1
1国立研究開発法人理化学研究所生命医科学研究センター粘膜システム研究チーム
キーワード:
腸内細菌叢
,
メタゲノム解析
,
統合オミクス解析
,
無菌マウス
Keyword:
腸内細菌叢
,
メタゲノム解析
,
統合オミクス解析
,
無菌マウス
pp.1313-1318
発行日 2025年9月20日
Published Date 2025/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003643
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腸内細菌叢は宿主の生理,病理に多大な影響を与える.次世代シークエンサーの普及により,腸内細菌叢のメタゲノム解析が可能となり,その組成や遺伝子機能の解明が進み,さまざまな疾患で腸内細菌叢の組成の異常,dysbiosisの存在が明らかとなった.また,統合オミクス解析手法や無菌マウスを用いた研究から,dysbiosisと疾患の病態との因果関係やその分子メカニズムの一端が明らかとなってきた.腸内細菌叢は宿主免疫系の正常な発達に重要であり,さまざまなヘルパーT細胞サブセットの分化誘導に重要な腸内細菌の存在も報告されている.また,腸内細菌叢の主要な代謝物である短鎖脂肪酸の機能も明らかとなってきた.

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