特集 肝硬変 ―最新の治療
1.治療介入(2)MASH由来肝硬変とアルコール関連肝硬変の治療の違い
池嶋 健一
1
1順天堂大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
脂肪性肝疾患
,
acute-on-chronic型肝不全
,
腸内微生物叢
,
断酒
Keyword:
脂肪性肝疾患
,
acute-on-chronic型肝不全
,
腸内微生物叢
,
断酒
pp.1111-1115
発行日 2025年7月20日
Published Date 2025/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003584
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脂肪性肝疾患(SLD)由来肝硬変の成因は代謝機能障害とアルコールに大別され,その双方が関与するMetALDも注目される.肝硬変マネジメントの基本は成因のいかんを問わず共通しているが,栄養管理はそれぞれの特性に応じて対処する必要がある.MASHに対する創薬は肝線維症への効果も期待されるが,肝硬変への有用性は未だ確立していない.肝硬変を背景に発症する重症アルコール関連肝炎はacute-on-chronic型肝不全(ACLF)の多くを占め,ステロイド療法を含む集学的治療に加えて肝移植も考慮される.SLD由来肝硬変の病態には腸内微生物叢の異常が深く関与しており,治療標的としても重要である.アルコール依存に対する薬物治療は古典的な嫌酒薬に加えて断酒補助薬や飲酒量低減薬など選択肢が広がってきているが,肝硬変,とくに非代償期では完全な断酒が不可欠である.

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