特集 上部消化管内視鏡を見直す ―基本から応用まで
10.十二指腸病変の拾い上げ診断から質的診断まで
赤澤 陽一
1
,
上山 浩也
1
,
八尾 隆史
2
,
永原 章仁
1
1順天堂大学医学部消化器内科
2順天堂大学大学院医学研究科人体病理病態学
キーワード:
十二指腸病変
,
非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍
,
粘液形質
,
非腫瘍性病変
,
腫瘍様病変
Keyword:
十二指腸病変
,
非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍
,
粘液形質
,
非腫瘍性病変
,
腫瘍様病変
pp.77-86
発行日 2024年12月20日
Published Date 2024/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003322
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十二指腸病変の内視鏡診断体系ついては不明な点が多かったが,近年,診断する機会は増加傾向であり,十二指腸病変のなかでも十二指腸上皮性腫瘍の臨床病理学的・内視鏡的特徴が明らかとなってきている.非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(NADET)は,粘液形質別に好発部位や肉眼型,悪性度などが異なることが報告されており,胃型NADETは球部に好発し,発赤調の0-Ⅰ様病変が多く,表面構造は分葉状・顆粒状構造を示し,NBI併用拡大観察(M-NBI)では上皮(構造)内に血管が視認されるパターン,腸型NADETは下行部~水平部に好発し,同色~白色調の0-ⅡaないしⅡc様病変が多く,M-NBIでは血管内に上皮(構造)が視認されるパターンを示し,white opaque substanceあるいはmilk white mucosaが観察されることが報告されている.NADETと鑑別を要する非腫瘍性病変として異所性胃粘膜/胃上皮化生,Brunner腺過形成,Peutz-Jeghers型ポリープなどが挙げられ,NADETとの内視鏡的鑑別は可能と考えられるが,一部には鑑別に苦慮する病変も存在する.十二指腸病変のスクリーニングにおいては,各病変の好発部位や内視鏡的特徴を理解したうえで,拾い上げ診断および質的診断に当たる必要がある.
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