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はじめに
内視鏡による上部消化管スクリーニング検査の普及を背景に,近年,十二指腸腫瘍に遭遇する機会が増加し,低侵襲治療を前提とした上皮性腫瘍の早期拾い上げ診断の必要性が指摘されるなど,ルーチン検査における十二指腸観察の重要性が認識されつつある1)2).一方,十二指腸はBrunner腺過形成や神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor ; NET)など粘膜下腫瘍(submucosal tumor ; SMT)様を呈する隆起性病変が多く,その鑑別診断は必ずしも容易ではない.また,血管炎,炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ; IBD),アミロイドーシスや各種消化管感染症などの非腫瘍性びまん性病変は十二指腸病変の拾い上げを診断契機とすることが少なくないが,その認知度は高くない.さらに,胆膵領域を専門としない消化管内視鏡施行医(筆者自身が該当)にとってスタンダードスコープ(直視鏡)による乳頭部・副乳頭部病変の拾い上げ診断は自信が持てないことが多い.
本特集号では,「知っておきたい十二指腸病変」について,ルーチン観察時に遭遇する可能性がある病変として,十二指腸非乳頭部の腫瘍様病変・腫瘍性病変,非腫瘍性びまん性病変と乳頭部・副乳頭部病変を取り上げ,それぞれの内視鏡所見を中心に最新知見を収載した.なお,腫瘍性病変に関しては,本誌51巻12号(2016年11月)「十二指腸の上皮性腫瘍」で特集された「非乳頭部の腺腫・癌」以外の腫瘍性病変(NETとSMT)を主たる対象とした.
本誌の主題として,十二指腸の「腫瘍様病変,NETとSMT」は46巻11号(2011年10月)「十二指腸の腫瘍性病変」以来7年ぶり,「非腫瘍性びまん性病変」は37巻6号(2002年5月)「十二指腸の非腫瘍性びまん性病変」以来16年ぶり,「乳頭部・副乳頭部病変」は32巻2号(1997年2月)「十二指腸乳頭部癌─縮小手術をめざして」以来21年ぶりの掲載となった.
以下に,十二指腸非乳頭部の腫瘍様病変・腫瘍性病変と非腫瘍性びまん性病変について,最近の動向を含め概観する.
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