連載 「胃炎の京都分類」の使い方
第22回 残存胃底腺粘膜の形態には意味があるのか
丸山 保彦
1
,
安田 和世
2
,
馬場 聡
3
1藤枝市立総合病院消化器内科
2静岡県立総合病院病理診断科
3浜松医科大学病理診断科
キーワード:
AIG(自己免疫性胃炎)
,
ROM(残存胃底腺粘膜)
,
壁細胞
Keyword:
AIG(自己免疫性胃炎)
,
ROM(残存胃底腺粘膜)
,
壁細胞
pp.823-830
発行日 2024年6月20日
Published Date 2024/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003086
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残存胃底腺粘膜(ROM)は自己免疫性胃炎(AIG)に見られる相対的に萎縮が軽い粘膜である.胃体部に赤色~橙色に観察され,IEE非拡大観察や色素散布で明瞭になり拡大すると正常胃底腺粘膜でみられるSECNが観察される.病理学的にROMは表層の腺窩上皮の整列性は保たれているが,中部~深部粘膜では,早期(時に進行最盛期)の変化が起こっている.ROMの形態はその範囲や隆起の高さにより分類され,広がりはAIGの経過を反映する.隆起型ROMでは壁細胞のpseudohypertrophyが隆起形成の一因となっており,平坦型と隆起型ROMでは第2層の厚さや腺管密度,壁細胞の大きさや形態が異なる.まだら状のROMでは炎症や萎縮が面状ROMより進行している.
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