特集 肝の超音波を知り尽くす ―びまん性肝疾患の診断
巻頭言 ―びまん性肝疾患の診断の重要性とこれから
寺井 崇二
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1新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野
pp.1523-1524
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002412
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近年の超音波医学の発展は目覚ましく,非侵襲的に肝実質の性状を(半)定量化して類推することが可能となった.脂肪性肝疾患の有病率増加が叫ばれる昨今,肝生検を回避して外来レベルで肝硬度測定や脂肪化定量を行えることの意義は大きい.これらの測定法が保険収載され始めていることからも,肝疾患診療における重要性をおわかりいただけることと思う.一方で,新技術の浸透とともに混乱を招きやすい状況となっていることも事実である.同じ肝硬度測定であっても,Transient Elastography(TE),Real-time Tissue Elastography(RTE),Shear Wave Elastography(SWE)は異なる原理を利用した測定方法であり,それぞれの特徴を理解して実施することが望まれる.肝硬度は純粋に線維化だけを反映した数値ではないことが知られているが,Dispersion Imagingはこれを解決するヒントとなるかもしれない.過大評価の原因となる高度炎症やうっ血の程度を定量化しようという新技術であり,エビデンスが蓄積されつつある.脂肪化定量に関しても,超音波の減衰を評価するという点では共通しているが,メーカーごとに呼称が異なる.
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