特集 高齢者の消化器疾患 ― 適切な診断法と治療法を目指して
10.肝 硬 変
名越 澄子
1
1埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科
キーワード:
肝硬変
,
食道・胃静脈瘤
,
腹水
,
肝性脳症
,
門脈血栓
Keyword:
肝硬変
,
食道・胃静脈瘤
,
腹水
,
肝性脳症
,
門脈血栓
pp.199-206
発行日 2022年1月20日
Published Date 2022/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002092
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高齢者肝硬変は原則として非高齢者と同様に診療を行うが,高齢者は発癌リスクが高いので慎重なサーベイランスが必要である.また,加齢に伴う低栄養状態やサルコペニア,身体・認知・生理機能の低下,薬物療法や侵襲を伴う診断・治療による副作用・合併症のリスクを考慮して診療を行う必要がある.肝硬変の原疾患に対する治療効果に年齢による差は報告されていない.合併症に対する診断・治療時には総合的に機能評価を行い,食道・胃静脈瘤治療では鎮静薬や硬化剤による有害事象,腹水の治療では利尿薬による血管内脱水,腎機能障害,不顕性肝性脳症の診断では加齢に伴う認知機能の低下,門脈血栓に対する抗凝固療法では出血に注意して診療に当たる.
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