特集 高齢者における消化器診療
高齢者における代表的消化器疾患とその治療
肝硬変・肝細胞がん
徳本 良雄
1
,
日浅 陽一
1
1愛媛大学大学院消化器・内分泌・代謝内科学
キーワード:
腹水
,
肝性脳症
,
サルコペニア
Keyword:
腹水
,
肝性脳症
,
サルコペニア
pp.843-848
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_843
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Summary
▪わが国の肝硬変・肝細胞がん患者の多くが高齢者である.
▪高用量の利尿薬投与は電解質異常や腎機能増悪の危険性があり,高齢者ではtolvaptanの適用を利尿薬の増量前から検討する.
▪高齢者に対する腹水排液は少量から開始し,輸液,アルブミン投与を併用する.
▪サルコペニア合併例は分岐鎖アミノ酸製剤を含む栄養療法と運動療法を行う.ただし,運動は軽微な運動から段階的に強度を上げることが望ましい.
▪加齢に伴う認知機能低下と肝性脳症の鑑別はしばしば困難である.
▪高齢者の肝細胞がんでは,より侵襲の少ない治療が推奨される.個々の症例におけるperformance statusや合併疾患を考慮して,ガイドラインに沿った治療が可能か検討する.
© Nankodo Co., Ltd., 2021