特集 高齢者の消化器疾患 ― 適切な診断法と治療法を目指して
4.消化性潰瘍
河口 剛一郎
1
,
菓 裕貴
1
,
池淵 雄一郎
1
,
吉田 亮
1
,
八島 一夫
1
,
磯本 一
1
1鳥取大学医学部消化器・腎臓内科学
キーワード:
高齢者
,
消化性潰瘍
,
上部消化管出血
,
緊急内視鏡
,
抗血栓薬
Keyword:
高齢者
,
消化性潰瘍
,
上部消化管出血
,
緊急内視鏡
,
抗血栓薬
pp.155-160
発行日 2022年1月20日
Published Date 2022/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002086
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
消化性潰瘍は上部消化管出血の原因疾患として最も頻度の高い疾患であり,高齢者では重篤な併存疾患を有する者が多く,非ステロイド性抗炎症薬や抗血栓薬の併用による薬剤起因性潰瘍が重要である.高齢者においても,出血性消化性潰瘍に対する内視鏡的止血術の成績はおおむね良好であるが,出血イベントをきっかけに併存疾患の悪化により予後不良の転帰を辿る者があり,注意を要する.発症後早期に予後予測スコアによる評価を行い,積極的な内視鏡的止血術の介入と,止血困難時には速やかな二次治療への移行を考慮する.最も重要なのは出血イベントを起こさせないことであり,とくに併存疾患を有する高齢者には酸分泌抑制薬による消化性潰瘍の一次予防も考慮すべきである.
Copyright © 2022, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.