消化管がん検診・スクリーニングの手引き
Ⅴ 上部消化管の検診で知っておくべき前癌状態と腫瘍性疾患 ❻ 神経内分泌腫瘍(NET)
山﨑 嵩之
1
,
関口 正宇
1,2
,
松田 尚久
1,2
,
関根 茂樹
3
,
斎藤 豊
1
1国立がん研究センター中央病院内視鏡科
2国立がん研究センター中央病院検診センター
3国立がん研究センター中央病院病理科
キーワード:
胃NET
,
十二指腸NET
,
直腸NET
Keyword:
胃NET
,
十二指腸NET
,
直腸NET
pp.1014-1020
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001879
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神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;NET)は比較的まれな腫瘍で,消化器の中ではとくに膵臓と直腸に好発する.本邦での2005年の集計では,消化管神経内分泌腫瘍(gastrointestinal neuroendocrine tumors;GI-NET)は年間人口10万人当り2.1人の発生数,人口10万人当り3.45人の患者数であったが,2010年の集計では人口10万人当り3.51人の発生数,人口10万人当り6.42人の患者数と増加傾向にある.検診や内視鏡受診機会の増加,内視鏡診断技術の進歩がGI-NET発見数の増加に寄与していると考えられる.本邦におけるGI-NETの発生部位は,上下部消化管内視鏡検査の観察範囲に含まれる直腸・十二指腸・胃が多く,各々GI-NETの55.7%,16.7%,15.1%を占めると報告され,またGI-NET患者の44%が検診にて無症状で発見されたというデータもあり,内視鏡の検診やスクリーニングにおける発見の重要性が示唆される.
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