消化管がん検診・スクリーニングの手引き
Ⅴ 上部消化管の検診で知っておくべき前癌状態と腫瘍性疾患 ❹ 胃底腺型胃癌
上山 浩也
1
,
赤澤 陽一
1
,
松本 絋平
1
,
松本 健史
1
,
八尾 隆史
2
,
永原 章仁
1
1順天堂大学医学部消化器内科
2順天堂大学医学部大学院医学研究科人体病理病態学
キーワード:
胃底腺型腺癌
,
胃底腺粘膜型腺癌
,
pepsinogen-Ⅰ
,
H+/K+-ATPase
Keyword:
胃底腺型腺癌
,
胃底腺粘膜型腺癌
,
pepsinogen-Ⅰ
,
H+/K+-ATPase
pp.1000-1008
発行日 2021年7月15日
Published Date 2021/7/15
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001877
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2007年にTsukamotoらが胃底腺への分化を示す胃癌の1例を報告し,その後,筆者らが2010年に胃底腺型胃癌(主細胞優位型),gastric adenocarcinoma of fundic gland type(chief cell predominant type)という名称で新しい概念として提唱した.「胃癌取扱い規約 第15版」では胃底腺型腺癌(病理組織学的な名称では‘腺癌’)という名称で特殊型の一つとして新たに追加され,2019年にはWHO分類第5版にもOxyntic gland adenomaもしくはGastric adenocarcinoma of fundic-gland typeという名称で新たに掲載された胃腫瘍である.海外では粘膜内病変は癌と診断されないためOxyntic gland adenomaと命名され,SM癌のみGastric adenocarcinoma of fundic-gland typeとして扱われる.WHO分類のOxyntic gland adenomaとGastric adenocarcinoma of fundic-gland typeの腫瘍としての病理組織像は同じであり,日本国内では粘膜内病変もSM癌も胃底腺型腺癌と診断されるため,国内外において用語の使用には注意する必要がある.
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