特集 機能性消化管疾患―診療UPDATE
3.機能性消化管疾患理解のための注目の視点(1)オレキシンシグナルと機能性消化管疾患
奥村 利勝
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1旭川医科大学内科学講座/病態代謝・消化器・血液腫瘍制御内科学講座
キーワード:
内臓知覚過敏
,
過敏性腸症候群
,
オレキシン
,
腸管透過性
Keyword:
内臓知覚過敏
,
過敏性腸症候群
,
オレキシン
,
腸管透過性
pp.539-544
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001763
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過敏性腸症候群(IBS)の主要病態に内臓知覚過敏や腸管透過性亢進(leaky gut)がある.これらの発症メカニズムを解明し,病態を改善してIBSの治療を目指すことは合理的である.IBSの病態は脳腸相関が基本となる.しかしながら,内臓知覚調節や腸管透過性制御の中枢神経機構についての知見は限定的で,われわれはそれらのオレキシンを中心とする中枢メカニズムを網羅的に研究中である.神経ペプチド オレキシンは中枢神経系に作用して脳内ドパミン,アデノシンやカンナビノイド神経系を介して内臓知覚を鈍麻させること,さらにオレキシンは内臓知覚改善の上流にあるleaky gut改善作用を有することが明らかになった.オレキシン神経を刺激・活性化することで,内臓知覚を改善しIBSが治療できる可能性がある.
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