特集 機能性消化管疾患―診療UPDATE
2.機能性下部消化管疾患(3)慢性下痢症―診断と治療
山本 貴嗣
1
1帝京大学医学部内科学講座
キーワード:
警告徴候
,
鑑別診断
,
止痢薬
Keyword:
警告徴候
,
鑑別診断
,
止痢薬
pp.534-538
発行日 2021年4月20日
Published Date 2021/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001762
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下痢は臨床において頻度の高い症状であり,急性と慢性に大別される.慢性下痢症は消化管のみならず全身性疾患の一部分症として発症することがあり,丁寧な鑑別診断が重要である.診察においては問診が重要であり,警告徴候の有無に留意しながら,既往歴,服薬歴,併存疾患,生活歴等から疾患を絞り込む.診断は比較的頻度の高い疾患,過敏性腸症候群(IBS),消化吸収障害,感染症,腫瘍,炎症性腸疾患,服用薬剤によるもの等を念頭におきながら,血液検査,内視鏡を含む画像検査,疾患特異的検査を行う.対応としては,全身状態を評価しながら確定診断を目指すが,原因が明らかでない場合は基本的な生活指導のうえ経過観察を行う.その際には止痢薬の投与を考慮するが,可能なかぎり頓用か短期間の使用にとどめることが望ましい.
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