Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
ナルコレプシーは有病率約0.1%の睡眠障害で,昼間の傾眠,情動脱力発作(カタプレキシー),REM睡眠関連症状を主徴とする。約95%が孤発例であるが家族例(5%)も認められる。ヒトではHLA-DQ遺伝子との強い関連があり,自己免疫疾患の可能性も示唆されているが未だに病因は明らかではない。治療は昼間の傾眠には中枢神経刺激剤,カタプレキシーにはREM睡眠を強く押さえる抗鬱剤が用いられているが,副作用や薬物耐性の面で問題があり,新しい治療法の開発が望まれている。
イヌ・ナルコレプシーはヒト・ナルコレプシーの自然発症動物モデルで孤発例と家族例が存在し,家族性のものは常染色体劣性遺伝を示す。ナルコレプシー犬を用いた実験結果より,ナルコレプシーの基本症状は,REM睡眠の調節機構そのものの障害というよりも,むしろ“カタプレキシーと睡眠・覚醒の分断”であると考えられる。神経薬理学的実験の結果は,ナルコレプシーの病態にはモノアミン系の機能低下とコリン系の感受性の増大という脳内の生化学的バランスの異常が深く関わっていることを示唆し,さらに,中脳ドーパミン系の機能低下で傾眠とカタプレキシーの発現を一元的に説明できる。
Narcolepsy is a disabling sleep disorder characterized by excessive daytime somnolence (EDS), cataplexy and REM sleep-related abnormalities. It is a frequently-occurring but under-diagnosed disorder that affects 0.03 to 0.16% of the general population in various countries. Although most cases occur sporadically, familial clustering may be observed. The disease is tightly associated with the specific Human Leukocyte Antigen (HLA) allele, DQB1 * 0602/DQA1 * 0102 [most often in combination with HLA-DR2 (DRB1 * 15) ].
Copyright © 2001, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.