特集 感染症と消化器 ― 診断と治療:感染症専門医から消化器内科医へのアドバイス
1.おもな消化器感染症の抗菌薬療法の進歩(6)急性膵炎の予防,壊死性膵炎の抗菌薬療法
渋江 寧
1
1横浜市立みなと赤十字病院感染症科・感染管理室
キーワード:
急性膵炎
,
抗菌薬予防投与
,
壊死性膵炎
,
ドレナージ治療
Keyword:
急性膵炎
,
抗菌薬予防投与
,
壊死性膵炎
,
ドレナージ治療
pp.273-278
発行日 2021年2月20日
Published Date 2021/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001698
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
急性膵炎に対するルーチンな抗菌薬の予防投与はレビュー,ガイドラインでも基本的に推奨されていない.重症度,緊急性によっては抗菌薬投与が容認される場面もあるが,患者個別,AST (抗菌薬適正使用)の視点でも耐性菌出現の問題を無視できるものではない.壊死性膵炎は4週間ほどで壊死部が液状化し,被包化された壊死となる.ただし,壊死部の感染の関与は発症から最初の2週間ではまれである.壊死部の感染をきたした際には膵臓内部・周囲にガス貯留がみられることもある.患者の状態が安定していれば,被包化膵壊死となるまでドレナージ治療を遅らせて対応することが推奨されている.ドレナージに際しては,開腹での壊死切除よりもステップアップ・アプローチ(低侵襲性のドレナージからのアプローチ)が推奨されている.感染性膵壊死に対しては腸管内に常在する菌をターゲットの中心とした抗菌薬治療とドレナージ治療が主軸となる.
Copyright © 2021, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.