特集 上部消化管腫瘍における先進的内視鏡治療の進歩
2 .注目される内視鏡治療の実際(8)Over‒The‒Scope Clip システムによる消化管全層縫合術
港 洋平
1
,
根岸 良充
1
,
瀧田 麻衣子
1
,
村元 喬
1
,
大圃 研
1
1NTT東日本関東病院消化管内科
キーワード:
全層縫合
,
穿孔
,
OTSC
Keyword:
全層縫合
,
穿孔
,
OTSC
pp.82-88
発行日 2020年12月20日
Published Date 2020/12/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001643
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消化管の全層性の欠損に対しては確実な縫合が必要である.外科的アプローチを回避するには,従来は内視鏡用の止血用クリップがおもに使用されてきたが,把持力が弱くまた把持できる領域も狭いことから限界があった.軟性内視鏡用全層縫合器であるOver—The—Scope Clip (OTSC®)(Ovesco Endoscopy GmbH, Tüebingen, Germany)は,消化管穿孔部や瘻孔の閉鎖・縫合,動脈出血の強力な止血などを内視鏡下に施行することが可能であり,本邦でも2011年に薬事認可された.2018年4月より,一定の施設基準を満たした条件下ではあるものの,内視鏡による穿孔・瘻孔閉鎖の手技点数が保険収載され,より使用しやすい環境が整ってきた.内視鏡治療に伴う医原性穿孔に対しても有用であり,OTSCシステムの特徴や手技を理解しておくことは内視鏡医にとってトラブルシューティングの選択肢の一つとして大いに役に立つものと考える.
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