連載 内視鏡の読み方
白色調扁平隆起を呈した胃底腺粘膜型胃癌の1例
小島 康司
1
,
内多 訓久
1
1高知赤十字病院消化器内科
キーワード:
胃底腺粘膜型胃癌
,
NBI併用拡大内視鏡観察
,
白色調扁平隆起
,
MUC5AC
Keyword:
胃底腺粘膜型胃癌
,
NBI併用拡大内視鏡観察
,
白色調扁平隆起
,
MUC5AC
pp.1395-1399
発行日 2020年9月20日
Published Date 2020/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001358
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胃底腺への分化を示す胃癌は,2007 年にTsukamoto らが胃癌の特殊な組織型として,gastric adenocarcinoma with chief cell differentiationという名称で報告し,2010 年にUeyama らが胃底腺型胃癌(主細胞優位型),gastric adenocarcinoma of fundic gland type(chief cell predominant type)という名称で新しい概念として提唱した.「胃癌取扱い規約」には,第15 版(2017 年)に“胃底腺型腺癌”の名称で初めて記載された.免疫組織化学染色では,胃底腺型胃癌はpepsinogen ⅠまたはH+/K+‒ATPase が陽性を示すことが必須とされている.その後,胃底腺型胃癌と類似した組織像をもつ病変のなかで,腺窩上皮への分化を示しMUC5AC が陽性となる症例が報告され,それらは胃底腺粘膜型胃癌と呼ばれている.胃底腺型胃癌は非腫瘍粘膜に覆われているのに対して胃底腺粘膜型胃癌は表層に腺窩上皮に分化した腫瘍が露出しているが,異型度が低く内視鏡や生検による診断が困難な症例も存在する.
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