連載 英語で論文を書くことの効能……学会発表だけじゃダメなんですか?
その4.前向き研究のほうがエライの? …②
加藤 順
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1千葉大学消化器内科・千葉大学医学部附属病院内視鏡センター
pp.654-654
発行日 2020年5月20日
Published Date 2020/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001179
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このように前向き研究に向くものは,「短期間に評価できるわかりやすい評価項目(抗癌剤の例では死亡)がある」ものです.逆に証明に長期間を必要とするもの,わかりやすい評価項目のないものは,前向き研究を行うことは困難です.評価に長期間を要する代表的なものは,ある要因が病気の発生に関与するか? というようなことを調べるものです.これについては,たとえば,若いうちからある食品を摂取し続けると,将来特定の癌が発症する確率は減るか? のようなことを示すstudy を考えてみます.2 群に分けて前向き,では,評価が何十年も先になってしまうので,実際には不可能です.こういう場合に行われるのは,通常,後ろ向きのcase‒controlstudy です.ある癌を発症した患者さんの集団に対し,性,年齢などをマッチさせたコントロールの集団を設定し,それらの患者さんの過去の食品摂取歴などを調査して,そこに差があるかどうかを検討する,といったようなものです.
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