連載 英語で論文を書くことの効能……学会発表だけじゃダメなんですか?
その4.前向き研究のほうがエライの?…①
加藤 順
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1千葉大学消化器内科・千葉大学医学部附属病院内視鏡センター
pp.648-648
発行日 2020年5月20日
Published Date 2020/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001178
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- 文献概要
本連載において「論文を書く」とは,まともな査読のある英文誌への掲載を指します(本誌Vol. 35 No. 3,p.337 より).論文を書く,というのは,結局「公平に比較すること」です.ただ,どのようなstudy でも完全に完璧に公平に比較することは不可能です.公平さを阻害する要因がバイアスと呼ばれるものです.ランダム化前向き二重盲検試験(いわゆるRCT)がなぜ尊重されるのかというと,「ランダム化」も「前向き」も「二重盲検」もすべてバイアスを極力少なくする手法だからです.すなわち「ランダム化」は,2 群を比較する研究に組み入れる際に,どちらの群に組み入れられるかがランダムである,ということを担保することにより,組み入れバイアスを防ぎます.「前向き」は,あらかじめ評価する項目(エンドポイント)を決めておいて,その目標をいかによく(または早く)達成するか,未来の時点で評価する,という意味で,あとから評価項目を決めることのできる「後ろ向き」に比べ,研究者の恣意を防ぐことができます.「二重盲検」は,医療者側も患者側も2 群のどちらに入っているかを知ることができない,という意味で,両者の思い込み(いわゆるプラセボ効果)を防ぐことができます.
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