連載 英語で論文を書くことの効能……学会発表だけじゃダメなんですか?
その3.英語で書いたほうがいいの? …②
加藤 順
1
1千葉大学消化器内科・千葉大学医学部附属病院内視鏡センター
pp.546-546
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001149
- 有料閲覧
- 文献概要
2 . 論文を書く論理構成,論理的思考法は日本語より英語のほうが向いている 多くの人が論文が書けない理由は,実は英語のせいではありません.英語ができないせい,と思っていることの大半は,英語的(または,欧米人的)論理展開ができないことによると思います.英語(=欧米の言語)を育んできた文化というのは,一人の絶対神がすべてを決めた,という世界です.「絶対の神様が見ても,そのことは本当に正しいのか?」という論理展開で,欧米語の論理は進みます.具体的には,「これは正しいのか?」と聞かれたら「Yes」「No」を真っ先にこたえ,そのあとに「なぜなら…」という展開になります.ハイ,イイエのどちらかは,一人の神様の価値観で決められている,という文化です.一方,日本には,昔から八百万の神様がおり,いろんな神様がいろんな価値観でものを見ます.だから,一つのことに「正しいのか?」と聞かれると,「いや,正しいかどうかは相対的なもんだから,こういうほうから見ると正しいともいえるし,別のほうから見ると正しくないともいえる,したがって,答えとしては…」という論理展開になります.これが,英語は先に結論をいうが,日本語は,最後に結論をいう,といわれることの原因です.
Copyright © 2020, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.