特集 消化管疾患のER―診断と治療のポイント
8 .消化器内科が遭遇する血管病変―上腸間膜動脈閉塞症,急性大動脈解離,NOMI,虚血性腸炎
鈴木 修司
1
,
下田 貢
1
,
島崎 二郎
1
,
大城 幸雄
1
,
西田 清孝
1
1東京医科大学茨城医療センター消化器外科
キーワード:
上腸間膜動脈閉塞症
,
急性大動脈解離
,
非閉塞性腸間膜虚血症
,
虚血性腸炎
Keyword:
上腸間膜動脈閉塞症
,
急性大動脈解離
,
非閉塞性腸間膜虚血症
,
虚血性腸炎
pp.619-624
発行日 2020年5月20日
Published Date 2020/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001170
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上腸間膜動脈閉塞症は上腸間膜動脈の急性閉塞により広範な腸管虚血・壊死を生じる.急激な腹痛で発症し,早期ではIVR が奏効することもあるが,壊死の進行で外科的治療となる.急性大動脈解離は大動脈壁の解離と血液流入を伴う.激しい背部痛で発症し,痛みが移動する.急性期,慢性期に分けて治療するが,腹部臓器虚血に留意する.非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)は腸間膜血管主幹部に閉塞を伴わず,非連続性に腸管血流障害をきたす.早期は特徴的な症候はなく,IVR が奏効することもあるが,虚血の進行で腹部症状をきたし,多くは外科的治療となる.虚血性腸炎は主幹動脈に明らかな閉塞を伴わない腸管粘膜血流障害による区域性炎症である.突然の腹痛・下痢・血便で発症し,多くは一過性,可逆的であるが,壊死の進行で,外科的治療となる.
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