特集 消化管疾患のER―診断と治療のポイント
9 .救急医療で遭遇する腸炎
中嶋 均
1
1東邦大学医学部総合診療・救急医学講座
キーワード:
虚血性腸炎
,
クラミジア感染症
,
ウイルス性腸炎
,
カンピロバクター腸炎
,
ヘノッホ・シェンライン紫斑病
Keyword:
虚血性腸炎
,
クラミジア感染症
,
ウイルス性腸炎
,
カンピロバクター腸炎
,
ヘノッホ・シェンライン紫斑病
pp.625-630
発行日 2020年5月20日
Published Date 2020/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001171
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救急医療での腸炎のキーワードは腹痛・出血であろうと考えられるが,もう一つ下痢も大事である.その観点では虚血性腸炎が頻度的にもっとも注意を払うべき疾患である.腹痛のみであれば腸炎以外の疾患も十分考慮する必要があるが,下血(出血)が加わると腸炎が鑑別の第一候補である.食中毒の統計上,この数年間,発生件数を更新しているのがアニサキス症であり,最多患者数ではノロウイルス腸炎と報告されている.また,意外なものとしてクドア食中毒,サルコシスティス食中毒も明らかになってきたものであり,そして性感染症のクラミジア感染症も救急診療では大事である.全身疾患の消化管病変として血管炎はその存在を知って初めて的確な対応が可能となる.
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