連載 講座
家族性膵癌
松林 宏行
1,2
,
石渡 裕俊
1
,
佐藤 辰宣
1
,
福冨 晃
3
,
上坂 克彦
4
,
浄住 佳美
2
,
小野 裕之
1
1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科
2静岡県立静岡がんセンターゲノム医療推進部
3静岡県立静岡がんセンター消化器内科
4静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
キーワード:
家族性膵癌
,
サーベイランス
,
早期診断
,
薬物治療
Keyword:
家族性膵癌
,
サーベイランス
,
早期診断
,
薬物治療
pp.1180-1186
発行日 2019年7月20日
Published Date 2019/7/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000890
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“家族性膵癌”は,広義では第1 度近親者(親子・兄弟姉妹)に2人以上の膵癌を認めることを意味し,狭義ではそれらから既知の遺伝性腫瘍症候群を除いたものを意味する.膵癌患者の近親者では膵癌の発生リスクが上昇するため,欧米では1990 年代から膵癌家系を対象として,早期診断と治療を目的としたサーベイランスが行われてきた.日本でも2014 年に家族性膵癌登録制度(JFPCR)が設立され,膵癌家系や膵癌の遺伝性リスクを有する者に対して血液・画像検査による定期的なサーベイランスが推奨されることになった.また,薬物治療においては,家族性膵癌の一部に相同組換え経路(homologous recombination;HR)の遺伝子異常がみられることから,これらに対するプラチナ製剤やPARP(poly ADP‒ribose polymerase)阻害薬の効果が期待されている.
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