胆道がん・膵がん-診断・治療Q&A-
Q2. 家族性膵がんとわかった場合の対応を教えてください
松林 宏行
1
,
浄住 佳美
2
,
東川 智美
2
,
白数 洋充
3
,
杉浦 禎一
4
,
芹澤 昌邦
5
,
釼持 広知
2
,
石渡 裕俊
6
,
佐藤 辰宣
6
,
石川 和真
6
1静岡県立静岡がんセンター内視鏡科医長
2静岡県立静岡がんセンターゲノム医療推進部
3静岡県立静岡がんセンター原発不明科
4静岡県立静岡がんセンター肝胆膵外科
5静岡県立静岡がんセンター研究所
6静岡県立静岡がんセンター内視鏡科
pp.31-33
発行日 2020年12月21日
Published Date 2020/12/21
DOI https://doi.org/10.34449/J0118.01.01_0031-0033
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第1度近親者に2人以上の膵がんを認める場合,これら膵がんを広義に“家族性膵がん”と呼ぶ。このような膵がんの一部では,分子生物学的あるいは遺伝学的に他の膵がんとは異なる特徴を有する可能性があるため,いくつか注意すべき点が挙げられる。家族性膵がんの1〜2割に遺伝性膵がんが含まれていると報告されている1)2)。その場合には,遺伝子バリアントによって薬剤の奏効性が異なる可能性があり,患者の家族にも膵がんやその他の腫瘍のリスクが高くなることが予測される。膵がんは高率に再発・転移をきたし,比較的短期間で標準治療が効かなくなるがん腫である。最近ではこのような進行期膵がんに対して,抗PD-1抗体の治療適応をみるためのMSI検査やゲノム医療のがん遺伝子パネル検査を行う機会が増えてきた。現在,生殖細胞系列BRCAバリアントを伴う進行膵がんに対するPARP阻害薬(オラパリブ)が国内承認審査中であり,膵がん症例に対するBRACAnalysisの適用にも関心が集まっている。また,保険適用も考慮しながらではあるが,膵がん家系などの膵がん高リスク群に対してサーベイランスが行われるようになってきた。これらを踏まえて,日常診療で家族性膵がんとわかった場合の対応について述べたい。
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