炎症性腸疾患診療のupdate
Ⅴ 炎症性腸疾患の内科治療 ⑮漢方薬
長沼 誠
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1慶應義塾大学医学部消化器内科
キーワード:
炎症性腸疾患
,
大建中湯
,
青黛
Keyword:
炎症性腸疾患
,
大建中湯
,
青黛
pp.876-881
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000819
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炎症性腸疾患の基本治療は5‒アミノサリチル酸製剤(5‒ASA 製剤)とステロイドであり,クローン病(CD)に関しては栄養療法が有用である.既存治療に効果がない症例に対しては血球成分吸着・除去療法,タクロリムス,抗TNF‒α抗体製剤などの治療法が存在し,最近ではインターロイキン(IL)‒12/23 抗体であるウステキヌマブ,接着分子阻害薬であるベドリズマブ,JAK(Janus kinase)阻害薬であるトファシチニブが保険適応となっており,使用可能である.しかし実臨床で治療に難渋する症例や副作用のため使用困難な症例も少なからず認められる.漢方薬治療は炎症性腸疾患に対しても使用されているが,経験的に用いられてきたものであるため,作用機序が明らかでなく,エビデンスに基づく医療という流れとは異なり,これまで十分な科学的検証が行われていなかった.しかし前述した副作用例を中心に,実際に漢方治療や他の代替医療を行う炎症性腸疾患患者が日本に多く存在するという現状から,漢方の概念や現状を理解しておく必要がある.
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