2 ．肥満と全身性疾患（1）肥満と肥満症・メタボリックシンドローム

飽食の現代社会では，摂取エネルギーの増加と運動不足を基盤として，体格指数（BMI）≧25 で示される身体状況をもつ肥満の割合は増加して久しい．そのなかで，肥満に起因あるいは関連した健康障害を合併し医学的に減量を必要とする肥満症（obesity disease）の患者を，適切に選別し治療介入する必要がある．現在，肥満症の健康障害としては11 の疾患・健康障害が挙げられ，そのうち耐糖能障害，脂質異常症，高血圧はとくに，メタボリックシンドロームの主兆候と捉えられている．こうした患者では，動脈硬化に基づく脳心血管イベントの発症リスクが高率であることから，基礎的研究での病態メカニズム解明と，日常診療での早期治療介入の両側面における役割が非常に重要である．