連載 内視鏡の読み方
褪色調表面平坦型(0‒Ⅱb)を呈した胃底腺型胃癌の1 例
小島 康司
1
,
内多 訓久
1
,
岩﨑 丈紘
1
,
大家 力矢
1
,
高橋 拓
1
,
岩村 伸一
1
1高知赤十字病院消化器内科
キーワード:
胃底腺型胃癌
,
拡大内視鏡
,
Narrow Band Imaging
Keyword:
胃底腺型胃癌
,
拡大内視鏡
,
Narrow Band Imaging
pp.221-226
発行日 2019年1月20日
Published Date 2019/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000657
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胃底腺への分化を示す胃癌は2007 年にTsukamotoらが最初に報告し,2010 年にUeyamaらが胃底腺型胃癌(主細胞優位型),gastricadenocarcinoma of the fundic gland type;GAFG (chief cell predominant type)という名称で新しい概念として提唱した.組織学的には,胃底腺への分化を示す分化型腺癌であり,免疫染色ではpepsinogen‒Ⅰ(主細胞のマーカー)またはH+/K+ ‒ATPase(壁細胞のマーカー)が陽性となる胃腫瘍である.胃底腺型胃癌の典型的な内視鏡所見は,褪色調の粘膜下腫瘍様の隆起性病変であるが,平坦型・陥凹型の症例や発赤調の症例も報告されている.純粋な胃底腺型胃癌の表層は非腫瘍上皮で覆われているため,NBI (Narrow Band Imaging)併用拡大観察では,明瞭なdemarcation line(DL)を認めず,表面微細構造(microsurfacepattern;S)および微小血管構築像(microvascularpattern;V)には不整がなく,癌と診断することが困難である.
今回,褪色調で境界明瞭な表面平坦型(0‒Ⅱb)を呈した胃底腺型胃癌の1 例を経験したので提示する.
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