特集 消化管粘膜下腫瘍(SMT)の診療
2 .消化管粘膜下腫瘍における分子異常―GIST を中心に
廣田 誠一
1
1兵庫医科大学病理学講座(病理診断部門)
キーワード:
遺伝子異常
,
粘膜下腫瘍
,
GIST
,
c—kit遺伝子
,
PDGFRA遺伝子
Keyword:
遺伝子異常
,
粘膜下腫瘍
,
GIST
,
c—kit遺伝子
,
PDGFRA遺伝子
pp.1455-1460
発行日 2018年10月20日
Published Date 2018/10/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000554
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消化管の粘膜下腫瘍(submucosal tumor;SMT)にみられる代表的な遺伝子変化として,臨床的に問題となるSMTの約80%を占めるgastrointestinal stromal tumor (GIST)にみられるc—kit遺伝子・PDGFRA遺伝子の変異があり,前者が全GISTの80~85%を,後者が約10%を占める.残りのGISTにはまれな遺伝子変化として,SDH遺伝子群異常・NF1遺伝子変異・BRAF遺伝子変異がみられ,これらの遺伝子変化はいずれも基本的に相互排他的である.SMTの約10%を占める平滑筋腫瘍には現在までに特定の原因遺伝子変化と呼べるものは明らかにされていない.SMTの約5%を占める神経鞘腫ではNF2遺伝子の両アレルの不活化の関与が示されている.よりまれなSMTである,デスモイド・孤立性線維性腫瘍・炎症性筋線維芽細胞腫瘍・炎症性線維性ポリープ・PEComaなどにも特有の遺伝子異常が検出される.
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