形態診断に役立つ組織化学・分子生物学
―間葉系腫瘍の診断―GISTの遺伝子解析と悪性度診断
礒崎 耕次
1
,
廣田 誠一
1
1兵庫医科大学病理学病院病理部門
キーワード:
GIST
,
遺伝子変異
,
c-kit遺伝子
,
PDGFRA遺伝子
,
分子標的薬
,
リスク分類
Keyword:
GIST
,
遺伝子変異
,
c-kit遺伝子
,
PDGFRA遺伝子
,
分子標的薬
,
リスク分類
pp.1411-1416
発行日 2011年8月25日
Published Date 2011/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102342
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はじめに
消化管壁に発生する間葉系腫瘍のうち,臨床的に問題となって切除されるものの多くはGIST(gastrointestinal stromal tumor)である.平滑筋腫瘍や神経鞘腫がそれに続き,まれなものとしてdesmoid,solitary fibrous tumor,inflammatory myofibroblastic tumorなどもある.筆者ら1)がGISTの腫瘍発生機構にc-kit遺伝子の機能獲得性突然変異が極めて重要な働きをしていることを1998年に発表したことを契機に,GISTの病態解明は急速に進展し,それらの成果は現在の進行GISTに対するimatinib,sunitinibによる分子標的治療などの形で臨床に応用されている2)3).
本稿では,GISTと関連の深いc-kit遺伝子と血小板由来増殖因子受容体α(platelet-derived growth factor receptorα; PDGFRA)遺伝子について説明した後,GISTにおける遺伝子変異のタイプ・頻度,さらには遺伝子解析がGISTの確定診断や予後の推定とどのように関連しているのかについて記載し,最後にGISTの悪性度診断について概説する.
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