特集 消化器病漢方治療―理論と実践
4 .実践:漢方薬治療の実際―このように治療する (3)胃もたれ,機能性ディスペプシア
富永 和作
1
1大阪医科大学先端医療開発学講座
キーワード:
消化不良
,
機能性ディスペプシア
,
脳腸相関
,
知覚過敏性
Keyword:
消化不良
,
機能性ディスペプシア
,
脳腸相関
,
知覚過敏性
pp.1393-1400
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000532
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漢方治療は,西洋薬で治療しきれないような慢性疼痛などの愁訴や,消化器病領域における上腹部不定愁訴に対しても有効とされる.胃もたれといった曖昧な症状や,そのような症状を診断根拠とする機能性ディスペプシアという疾患が,漢方薬治療の対象となる.100種を超える漢方薬のなかで,六君子湯は,薬理機序の基礎解析に加え,臨床的有効性を示すエビデンスが豊富である.人参湯,半夏瀉心湯,半夏厚朴湯,安中散,黄連解毒湯なども有効性を示す可能性を秘めているが,エビデンスレベルは未だ低いままである.したがって,漢方治療の普及のためには,多くの漢方薬の使用経験を高め,経験値を伝えるエビデンスの集積を行うことが期待される.
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