膵癌update
Ⅲ 治療 ①治療方針(外科治療)
早﨑 碧泉
1
,
岸和田 昌之
1
,
伊佐地 秀司
1
1三重大学肝胆膵・移植外科
キーワード:
切除可能性分類
,
治療アルゴリズム
,
術前治療
,
生物学的因子
,
宿主因子
Keyword:
切除可能性分類
,
治療アルゴリズム
,
術前治療
,
生物学的因子
,
宿主因子
pp.812-819
発行日 2018年5月25日
Published Date 2018/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000396
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「膵癌取扱い規約」第7版では,標準的手術により肉眼的および組織学的にR0切除が可能かどうかという視点から,dynamic CTという客観的な画像診断に基づいて,切除可能性を切除可能(R),切除可能境界(BR:門脈系への浸潤のみBR‒PV,動脈系への浸潤を伴うBR‒Aに亜分類),切除不能(UR:遠隔転移を伴わないUR‒LA,遠隔転移を伴うUR‒Mに亜分類)に分類している.「膵癌診療ガイドライン」2016年版では,この切除可能性分類ごとに膵癌の治療戦略を提唱しており,内科医・外科医・放射線科医・病理医が共通の指標のもとで治療方針を議論し決定できるという点で非常に有用である.しかし,RやBR膵癌における術前治療の位置づけや,BRやUR膵癌における化学療法/化学放射線療法の至適レジメンやその後の根治を目指した手術療法の適応などについては,一定の見解はない.また,NCCN(National ComprehensiveCancer Network)ガイドライン(Version 3.2017)においても切除可能性分類ごとに治療アルゴリズムが提示されており,その基盤となる切除可能性分類は「膵癌取扱い規約」の定義するものとは大きくは異ならない.
本稿では,「膵癌診療ガイドライン」とNCCNガイドラインについて概説し,当科における手術を前提とした化学放射線療法(CRTS)の臨床成績を示すことで,今後の治療成績向上を目指した治療戦略につき述べる.
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