特集 〈最新〉NAFLD/NASH 診療ガイドラインを読む
5 .NAFLD/NASH の遺伝的背景
伊藤 義人
1
,
山口 寛二
1
,
楳村 敦詩
1
,
森口 理久
1
,
瀬古 裕也
1
,
奥田 圭一郎
1
1京都府立医科大学消化器内科学
キーワード:
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)
,
SNP
,
PNPLA3遺伝子
Keyword:
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)
,
SNP
,
PNPLA3遺伝子
pp.737-743
発行日 2021年6月20日
Published Date 2021/6/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001817
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NAFLD/NASHの病態に関与する遺伝子は数多く報告されている.PNPLA3遺伝子はNAFLDの疾患感受性遺伝子であり,肝細胞内の脂質のリモデリングに関わる酵素をコードする.そのSNP (rs738409:C>G,I148M)は肝線維化進展やNAFLD—HCC発症にも関連している.アジア人ではrisk allele (CG,GG)保因者が多く,非肥満のNAFLDの有病率が高い.PNPLA3遺伝子のI148M変異は肝臓に脂肪蓄積を惹起する.肝星細胞ではretinolの産生低下を招き肝線維化に寄与することも示唆されている.TM6SF2は肝臓からの脂質の分泌に関わる遺伝子であり,そのSNPのminor allele (T)は肝臓からのVLDL分泌を抑制し肝内に中性脂肪の蓄積を誘導する.HSD17B13は肝における脂肪滴に関連し,そのsplice variant (rs72613567:TA)は慢性肝疾患やNASH発症のリスクを軽減させると考えられている.
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